オイルレスベアリングの摩耗量の許容値は、寸法と精密度によって異なり、この点が寿命と直結します。 速度と荷重以外に、異物の混入、使用温度、軸加工状態、公差適正可否などその他条件により摩耗量は変化するため、直接使用しない限り、摩耗量と寿命の事前予測は現実的に不正確であるといえます。また、オイルレスベアリングはボール、ローラーベアリングと比べて大部分が複雑で特殊な条件で使用されるため、計算式による寿命の予測は非現実的ではありますが、参考に実験上使用される摩耗計算式は以下の通りです。
W = K.P.V.T
W: 摩耗量(mm)
V: 運動速度(m/min)
P: 面圧(kgf/cm2)
T: 摩擦運動時間(hr)
K: 非摩耗量(mm/kgf/cm2 · m/min · hr)
非摩耗量K
| 潤滑状態 | mm/kgf/cm2 · m/min · hr |
|---|---|
| 完全無給油 | 1 X 10-3 ~ -5 |
| 低速の境界性潤滑状態 | 1 X 10-5 ~ -7 |
| 定期グリース給油の良好な潤滑状態 | 1 X 10-6 ~ -8 |
| 連続Oil潤滑、または水潤滑による流体潤滑状態 | 1 X 10-8 ~ -10 |
PV値とは、単位面積あたりの面圧P(kgf/cm2、ベアリングの単位面積は内径x長さの投影面積が基準)と単位時間あたりの運動速度V(m/min)を掛け合わせた値で、ベアリングの選択上、重要な決定基準となります。従って、使用条件のPV値を計算し、以下の図のように各ベアリングの許容PV値を超えないように選定する必要があり、計算式は以下の通りとなります。
PV値計算式
| ブッシング | P(Kgf/㎠) | V(m/min) | PV(Kgf/㎠〮m/min) |
|---|---|---|---|
回転運動  |
102 W / ød X L | π ød n / 103 | π W n / 10 X L |
角度運動  |
102 W / ød X L | π ød c θ / 180 X 103 | π W c θ / 18 X 102 X L |
直線運動  |
102 W / ød X L | 2 c S / 103 | W c S / 5 X ød X L |
| 座金(ワッシャー) | P(Kgf/㎠) | V(m/min) | PV(Kgf/㎠〮m/min) |
スラスト運動  |
回転運動 | 回転運動 | 回転運動 |
| 400 W / π X (øD2 - ød2) | π øD n / 103 | 4 W øD n / 103 X (øD2 - ød2) | |
| 角度運動 | 角度運動 | 角度運動 | |
| 400 W / π X (øD2 - ød2) | π øD θ / 180 X 103 | 4 W øD c θ / 180 X 103 X (øD2 - ød2) | |
| プレート | P(Kgf/㎠) | V(m/min) | PV(Kgf/㎠〮m/min) |
直線運動  |
102 W / B X L | 2 c S / 103 | W c S / 5 X B X L |
| 区分 | 単位 | 区分 | 単位 | 区分 | 単位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 単位 | Ød mm | 幅 | B mm | 運動距離 | S mm |
| 外径 | ØD mm | 回転速度 | n rpm | 揺動角度 | θ ° |
| 長さ | L mm | 揺動周期 | c cpm | 荷重 | W kgf |